地域の価値を、持続可能なビジネスに。事業開発チームの実践

「環境価値創出事業」「事業開発」という言葉は、やや抽象的で、実態が見えにくいかもしれません。事業開発チームの仕事は、数字や計画を机上で描くだけの仕事ではなく、実際に地域の現場に入り、その地域に暮らす人と向き合い、事業として成立させた後も共にビジネスを育てていくことを大切にしています。このチームで挑む「事業開発」とは、自治体や地域の事業者と対話を重ね、地域の経済循環を持続的に活性化させるプロセス全体のことを指します。

本記事では、中途採用で2025年10月に本チームにジョインした社員へのインタビューを通じて、経営戦略部・事業開発チームのリアルな仕事内容や難しさ、そして不確実性の高い環境だからこそ感じられる面白さを掘り下げます。地域と都市を往復しながら事業をつくるこの仕事で、どんな経験やスキルが身につき、どのようなキャリアを描けるのか、話を聞きました。

三ッ輪ホールディングス株式会社 経営戦略本部 経営戦略部 事業開発チーム M.K.

早稲田大学商学部卒業。豊かな人間関係資本を生むコミュニティづくりの面白さに夢中になり、複数のスタートアップで起業家支援やコミュニティ運営に携わった後、アートホテルの企画・設計・運営を手掛けるホテルベンチャーを経て独立。フリーランスとして地方でのホテル開業案件に携わった際に地域の面白さに気付き、地域資源を活用した経済循環を生みたいと志して三ッ輪ホールディングスに入社。現在は事業開発担当としてカーボンクレジットの創出や再生可能エネルギーの導入など地域での脱炭素事業の推進を手掛ける。

「環境価値創出事業」とは、地域の可能性を事業に変える仕事

ーーまずは「経営戦略本部」の役割を簡単に教えてください。

経営戦略本部は、三ッ輪ホールディングスグループ全体の事業推進を担う部署です。システム開発・マーケティング・M&A・事業企画・事業開発といった機能が集約されています。その中で、私が所属する事業開発チームは、これまで三ッ輪が向き合ってきた「地域」というフィールドで、将来の事業の種まきをする役割を担っています。

ーー具体的にはどんな事業を手がけているのでしょうか。

メインは「環境価値創出事業」です。あまり聞きなれない言葉だと思いますが、地域に存在する環境資源や農業資源をカーボンクレジットとして環境価値証券化して、経済価値に変えて収益化する事業のことです。国内では「J-クレジット制度」という国の制度があり、東京証券取引所で売買されています。
(参考:J-クレジット制度及びカーボン・オフセットについて

グローバルレベルで国や大企業が気候変動に対して取り組むことが求められるなかで、自治体でも脱炭素事業の取り組みが進んでいます。そこにビジネスチャンスを見出して、地域に新たな収益源として還元する事業モデルを構築しようとしています。国内の小規模な自治体は少子高齢化による税収減や、地域産業の衰退、行政インフラの維持コスト増加など複合的な課題を抱えています。それらを解決することは一筋縄ではいきません。

そういった状況に対して、近年地方創生分野では様々なアプローチで地域課題に取り組まれていますが、我々はJ-クレジットのように地域資源を活用した新しい資金の流れを生み出したり、太陽光やバイオマスといった新しいエネルギー源の開発と地域内での使い方の提案をするというアプローチを取っています。

ーーこの事業がいま社会に求められる理由、その中で当社だから発揮できると考えている価値について聞かせてください。

日本に限らずグローバルで、脱炭素やサステナビリティへの取り組みが、これまでの「理念」を掲げるフェーズから事業継続のリスクや事業機会の損失として捉えられるフェーズに移っていることが大きいのではないでしょうか。

単に温室効果ガスの削減目標を掲げるだけでなく、激変する外部環境に対していかに事業継続のための戦略を描き、地域や社会に対して責任を果たしていくのかということが強く問われる時代になったと理解しています。

その潮流のなかで、三ッ輪として社会に発揮できる価値は、大きく2つあると考えています。

1つ目は、三ッ輪ホールディングスグループが長年にわたり地域で事業を続けてきた会社であること。時代の変化に応じて扱うエネルギー商材は変えつつ、一貫して地域社会の「顔の見える関係性」の中でビジネスをしてきた85年以上の歴史があり、地域の困りごとを自分ごととして捉え、解決しようとするカルチャーが根付いています。

このカルチャーは我々が地方に入っていくときのスタンスにも活きています。単なる外部のコンサルとして入るのではなく、地域の中に入り込み、当事者として地域の人たちと共創しながら、本当に地域にとって為になる事業を一緒につくり、動かしていく。そういった泥臭い姿勢が、自治体や地域の事業者の方々から信頼されている理由だと思います。

2つ目は、我々が東京という大都市に拠点を置きながら地域の現場に深く関わり、都市と地方をつなぐ媒介者的な立ち位置で仕事ができる点です。都市部の大企業の脱炭素事業に関するニーズをしっかりと把握しながら、地域での実行推進体制をつくるところまで、人やお金を投じながら適切な形で地域の課題を理解し、事業につなげていく存在は決して多くありません。自治体にとっても、物理的・心理的距離を超えたパートナーとしての価値を感じてもらえているのではないかと思います。

ーー日々の実務では主にどんなことをしていますか。

入社4か月目(※インタビュー時点)なので、現在は脱炭素に関する制度の知識を日々インプットしながら、毎月のように地域の現場に同行して現場感を養っているところです。事業領域の特性上、経済産業省・環境省・農林水産省を始めとする各省庁の制度を理解して大きなトレンドを把握したうえで、自治体や企業への施策提案をおこなうので、知識量はかなり求められます。

それと並行して、各自治体のJ-クレジット創出の入札案件や、自治体の計画策定業務、バイオ炭のポテンシャル調査や実証実験など、多岐にわたる業務に携わっています。また最近は街づくり領域など周辺領域のご相談も増えています。

例えば地域電力を立ち上げた後、その収益を地域に還元するための新しい事業立ち上げや、市民や地元企業への認知拡大を図るためのワークショップやセミナー企画といったことまで手掛けているので業務の裾野は幅広いです。

ーー各地の自治体との関わり方も深そうですね。

はい。自治体の入札案件に取り組むこともあれば、銀行など地域のビジネスのハブになるようなセクター経由で新たな自治体との繋がりが増えることもあり、相談数も日々増えています。当社だけで完結しない場合は、地域の企業と座組を組み、地域課題に即した事業のスキームを設計します。机上の企画ではなく、「どうすれば地域で持続的に回り続ける仕組みを実装できるか」を常に考えています。高い解像度で現場を理解しておかなければ、実行フェーズでうまくいかなくなることも多いので、現場力と企画力は鍛えられます。

ーーコンサルティングや企画だけではないのですね。

前述したように、とにかく現場に入り、関係性を築きながら実装・運用まで深く関わることを大切にしています。事業計画の策定支援・資金のスキーム構築・運営体制づくりまで踏み込むので泥臭い部分も多いですが、「環境と社会とのつながり」や「持続的な地域社会の未来」というテーマに関心があれば、それらをビジネスとしてどう成立させるかを本気で考えられる環境です。

不確実性の中でスキルを養う

――この仕事の難しさは?

事業領域がまだまだ黎明期なので、ビジネスモデルが確立しきっていないことが多く、仮説検証をしながら複数プロジェクトを進行している状態です。そのため不確実性が高い中でも一喜一憂しすぎずに、関係者と地道に足元の事業を信頼関係を築きながら進めていく胆力が求められます。

とはいえ、新規事業にトラブルはつきものなので、それを恐れすぎずにチャレンジをサポートしてくれたり、失敗した際に速やかにフォローアップに入ってくれるチーム体制が組まれていて、安心して働くことができていますね。

――それでも続けられるモチベーションや、この環境によって身につく力を教えてください。

まだ入社して日が浅いですが、上司を見ていて思うのは「地域の人から本当に頼られる存在になれる」ことです。黎明期の事業ということもあり、各自治体の担当者は孤独を感じていることも少なくありません。ビジネス上での関係性だけでなく、人間同士として付き合い、心理的にも寄り添う姿勢を大切にすることで本当の意味での事業パートナーになれると思っています。

また身体的に地方と都市を頻繁に行ったり来たりするので、複眼的な視点や思考力が身につきます。気候変動というグローバルなイシューに対して、ローカルでどうアクションをおこしていくのか。鳥の目と虫の目といった両方の視点を持つことは、VUCA時代を生き抜く力を培う機会としても最適なのではないでしょうか。

キャリアの実像

――「事業開発」と聞くと、未経験で挑戦することにハードルの高さを感じる候補者も少なくないのではと思います。

その感覚は自然だと思います。ただ、ここで身につくのはエネルギー業界だけに閉じたスキルではありません。事業の本質的な価値を誰にどうやって届けるかといった事業構想力、関係者を巻き込む力、持続的に事業を続けるための財務の数字を見る力、そして現場で物事を前に進める力。どの業界でも通用する基礎体力が鍛えられます。

私自身も含め、部内にはエネルギー業界未経験で入社したメンバーも多くいますが、共通しているのは、自分で学び、情報を取りに行く姿勢があることです。こういったスキルはこの先どんな社会になっても、世界のどこにいても汎用性高く通用するものだと思います。
正解やマニュアルはなく、状況に応じて役割も変わる。だから未経験でも、これまでの経験をどう活かすか次第で活躍できます。実際、部署メンバーのバックグラウンドもさまざまです。

――入社後はどんなキャッチアップをするのでしょう。

現状、中途向けの研修制度はないため、現場に同行しながらドメイン知識をインプットしていく形になります。エネルギー業界未経験の方であれば、まずは電力小売のビジネスモデル、J-クレジットなどの制度理解から。基礎知識は基本的に自学自習ですが、1on1や部内定例で学習の進捗や不安を共有し、フォローする体制は整っています。

私自身もはじめは「何が分からないのかが分からない」ところからスタートしましたが、書籍で体系的に学習した後は、生成AIを活用しながら専門用語や各業界のトレンドなどを都度学習しながら日々の業務をこなしています。制度変更のアップデートが早いので、日常業務として効率的に情報を収集して学び続けることは必須かなと思います。

大まかなイメージとしては入社から半年ほどはプロジェクトサポート的な立ち位置で、進行中の案件に入りながら現場感覚と知識を身につけてもらいます。社内には各領域の専門家チームがいるので、自分から聞きに行けばきちんと教えてもらえる環境です。

――自身のキャリアパスをどのように描いていますか。

個人的には「事業をつくること」を仕事にし続けたいと思っています。会社や事業を立ち上げ運営するために必要な知識を一通り身につけ、ジェネラリストとしての基盤を固めながら、スペシャリストとして強みを発揮できる領域を見つけたいですね。

いつか自分が大好きな地域で、その土地の人たちと一緒に自分たちの暮らしたい街を自らつくるような将来が描ける時代がくるのではと思っています。自らの人生の選択肢の幅をひろげていくためにも、世界中のどこにいても事業をつくれるような胆力と企画力を磨きたいなと思っています。

――市場としての将来性は?

脱炭素やサステナビリティは、気候変動というグローバルイシューにも直結しており、簡単に消える市場ではないと考えています。どんな環境においても、それに適応したビジネスの形がきっとあると思っています。そういった意味では長期でキャリアを築いていくには悪くない市場かなと思います。

老舗×ベンチャーが両立するからこそ生まれる事業推進力

ーー実際の働き方について教えてください。

自治体の年間スケジュールに合わせて動くことが多いので、繁忙期は毎週のように地方出張があります。ざっくりと1週間のうち1〜2日が出張、2日が在宅勤務、残り1〜2日がオフィスに出社というイメージですね。部署全体でリモートワークを導入しており、私もハイブリッドスタイルで柔軟な働き方ができています。

誰かがタスク管理をしてくれるわけではないので、業務も体調も自分でマネジメントする必要があります。体感としてはフリーランスに近いですね。

ーー結構タフな働き方に見えるのですが…

正直、体力勝負なところも大きいです。机の前だけでは完結しないので、仕事の手触り感はかなり強いと思います。移動が多いぶんデスクワークの効率化も必須ですが、休日はしっかり休めていますし、オンオフがはっきりしていますね。時期さえ調整すれば、有休も気持ちよく使えます。

人によって向き不向きがはっきりしている仕事ですが、日々いろんな場所にいって、様々な領域の専門家の方々からニッチなことを教わる仕事は個人的にはとても楽しいです。

――職場としての魅力は?

よく言われるのが、「老舗の安定感」と「ベンチャーのスピード感」が共存している点です。前述のように、長年地域に根ざして積み上げてきた歴史があるからこそ、地域や自治体にも信頼してもらえる部分は大きいと思います。
一方で、意思決定のスピードと個人の裁量は、ベンチャーに負けていないですね。事業開発は意思決定のスピードが事業推進のそれに直結します。日々意思決定の連続ですが、基本的には当日中に決まることが多いです。2~ー3週間に1回の定例報告の場では、社長決裁まで一気に進みます。

とはいえ、何でもかんでもやるわけではなく「やらない判断」も合理的に行っています。そのバランス感覚があるからこそ、安心して挑戦できていますね。大きな裁量には責任も伴いますが、「やってみたい」という意思が尊重される文化があります。

チームの多様性が事業の可能性を広げる

――最後に、どんな人に仲間になってほしいですか。

まず、人と関わることが好きな人ですね。毎週のように違う場所に行き、違う人と会い、違うプロジェクトに関わるので、コミュニケーション能力が高い人や、知的好奇心が高い人は向いていると思います。

逆にルーティンワークを好む人や、先が見えない状況に強いストレスを感じる人はミスマッチかもしれません。事業の方向転換が起きることも少なくないですし、不確実性は高いです。その中でも、「誰のために、何のためにこの事業をやっているのか」を見失わず、納得感を持って取り組める人には、非常にやりがいのある環境だと思います。

――働く人次第で、いろんな可能性を描けるポジションなんですね。

そうですね。多様性を大事にしているので、既存のメンバーが知らない世界観や経験を持っている人が加わることで、チーム全体の可能性は確実に広がると思っています。働く人それぞれの得意領域によって、挑戦できるテーマや関わり方も変わっていきます。

これまでやってきたことが、思いもよらない形で次の事業やプロジェクトに生きることも多いです。「自分の経験を別のフィールドで活かしてみたい」「これまでのキャリアを次の挑戦につなげたい」と考えている人には、すごくフィットする環境だと思います。
まずはカジュアル面談などで、気軽に話をしに来てもらえたらうれしいですね。

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いかがでしたか?当社グループ社員の雰囲気や働き方が少しでも伝わると幸いです。三ッ輪ホールディングスグループの公式blogでは様々な部署に所属するメンバーが記事を更新していますので、ご興味のある方はぜひご一読ください!

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