【代表メッセージ】
これまでにない価値を創造し続けるために
―エネルギーの新たな可能性へ―

1940年、まだ各家庭に電気やガスが普及していない時代に固形燃料の製造・販売を行う会社としてスタートした三ッ輪産業株式会社は、2020年に創業80周年を迎える。時代の移り変わりとともに扱う商材・サービスを変えながら事業を拡大し、現在はグループ会社全体で600人の社員が新たな挑戦を続けている。これまでの軌跡と創業以来受け継がれている想い、今後のエネルギー事業の可能性や三ッ輪ホールディングスグループがめざすところについて、尾日向代表取締役に聞いた。

三ッ輪ホールディングス株式会社 代表取締役社長 尾日向 竹信(おびなた たけのぶ)

1980年生まれ。慶應義塾大学大学院 理工学研究科 修了。その後入社した野村総合研究所ではコンサルタントとして活躍し、2007年5月三ッ輪産業株式会社に入社。三ッ輪液化瓦斯株式会社の代表取締役を経て、2015年11月に三ッ輪産業株式会社の代表取締役に就任。2019年10月には三ッ輪ホールディングス株式会社を設立し、代表取締役に就任。Twitterはこちら

――創業から80年、三ッ輪ホールディングスグループに受け継がれている想いとは?

当社グループは1940年の創業以来、煉炭・豆炭から石油類、さらにはLPガスへと時代の流れに合わせて商材を変えながらも、地域の皆さまへの「安全で安定した快適なエネルギー」のご提供を続けてきました。お客さまとの顔の見える関係性や地域の事業者の方々とのパートナーシップを大切にし、新たな価値を生み出すための挑戦を続けていく。そのような「信頼」と「創造」を重んじる社風は、創業から80年を迎える今なお脈々と受け継がれています。

私たちが創業時より一貫してめざしてきたのは、エネルギー供給事業者としての役割を果たすだけではなく、地域の皆さまのくらしをゆたかにする企業でありたいということです。「みつばちガス」「みつばちでんき」といったサービスの名称には、花から花へと飛び回るみつばちのように、真面目に一軒一軒のお客さまのもとを訪ねて確実にサービスを提供できる存在でありたいとの想いが込められています。

――エネルギー事業のほかに、さまざまな事業を展開するに至った経緯を教えてください。

きっかけとなったのは、LPガスの機器点検などを通じてお客さまと対話を重ねていくなかで「住まいをより快適にしたい」「安全な水を飲みたい」といったご要望を数多くいただいたことです。それらの“くらしの中にある声”に寄り添いたいとの想いが、リフォームや宅配水といった家庭用エネルギーの枠を超えた新たな事業展開につながりました。

エネルギー供給・販売事業を主軸としながらも、新たなフィールドでの事業展開に積極的に挑戦する姿勢を持ち続けているのが当社グループの特色です。現在は多様化するお客さまのニーズに対応すべく、電力・都市ガスのプラットフォームサービス、通信サービス、はちみつなどの健康食品に至るまで、多岐にわたる商材・サービスを提供させていただいております。
お客さまのくらしを、より安心でより快適な“ゆたかなくらし”にすることで、地域社会全体をゆたかにしていく。それが私たちの使命であり、創業以来、変わることのない願いでもあるのです。

――“ゆたかなくらし”のために、具体的にはどのようなことができるのでしょうか?

当社グループは、LPガスを中心とした「家庭用エネルギー事業者」から、一人ひとりのお客さまのくらしのニーズに寄り添う「くらし事業者」へと発展を遂げながら、多種多様な商材・サービスを扱ってきました。ですが、少子高齢化や人口減少といった社会問題が地域にもさまざまな影響を及ぼしている現在、私たちはインフラの一角を担う企業として、社会問題のソリューションにも取り組んでいく必要があると感じています。

家庭用エネルギーは、地域の皆さまが日常的にお使いになるものです。そのため、自治体や地域の事業者の方々と連携してオリジナルのエネルギーブランドを立ち上げ、継続的に収益が得られる仕組みを整備すれば、資金面において社会問題の解決に貢献することが可能になります。

一例として、当社のグループ会社であるイーネットワークシステムズは、岐阜県・飛騨高山エリアの電子地域通貨「さるぼぼコイン」で電気料金を決済できる日本初のサービスをリリースしました。安心かつ快適なエネルギーを供給するとともに、地域経済の活性化にも寄与する。これからは、こうしたエネルギー+αの部分で何ができるかを考えることが求められる時代です。

当社グループではこのほかにも、地域の皆さまのくらしをよりゆたかなものにするための省エネ設備のご提案や、安価かつ効果の高い防災商品のご紹介といった取り組みも進めています。これからの時代のエネルギー事業者には、「地域が直面する社会課題を解決するために何ができるか」を考える視点が不可欠だといえるでしょう。

――環境問題や災害への対策としては、どのようなことが重要になるのでしょうか?

環境負荷を減らすための選択肢の一つとして、再生可能エネルギーが注目を集めています。ですが、自然エネルギーは気象条件などにより供給量に揺らぎが生じる可能性がありますから、安定した供給を可能にするための対策を講じていかなければなりません。

「安定した供給の実現」という視点は、災害対策としても非常に重要です。災害時には電線やガス導管が遮断されてしまう可能性もあるため、ガスボンベでの保管が可能なLPガスを活用したり、発電機や蓄電池などでエネルギーを補ったりというように、複数の手段を組み合わせてより確実なエネルギー供給が行える方法をマネジメントしていく必要があります。

当社がこれまで主力事業として扱ってきたLPガスは、炭素を含むエネルギー源の中では環境負荷が比較的少ないため、災害対策のみならず、自然エネルギーの不足分を補うエネルギーとしても活用が期待されます。いざというときの備えとして頼れるエネルギーを、確実にお客さまのもとへお届けできるよう、事業者としてなすべきことを着実に実行していく。これまでも、そしてこれからも、その想いに変わりはありません。

また、エネルギーの供給方法の見直しも急務であり、今後は必要なときに必要な分だけを効率よく使うことができる商品・サービスへのニーズが高まることが予想されます。環境問題への意識が高まりつつある現在は、どのようにして産出されたエネルギーなのかということも厳しく問われる時代であり、環境に負荷をかける方法で生み出されたエネルギーを使用する企業は生き残りが難しくなると言わざるを得ません。そのため、再生可能エネルギーに関しては、その産出方法を証明できる仕組みづくりにも注力し、環境負荷の少ないエネルギーを活用しているクライアントの皆さまの企業価値向上にも貢献していきたいと考えています。

――地域で信頼される存在となるために心がけていることを教えてください。

地域の社会課題の解決に取り組むにあたっては、当社グループのみでできることは質の面でも量の面でも限界があります。そこで重要になるのが、自治体や地域の事業者の方々とのパートナーシップにより、地域に貢献していくという視点です。

1940年の創業以来、当社グループは地域の事業者の方々とともに、地域の皆さまのくらしをゆたかにするための取り組みを進めてきました。先代、先々代からのお付き合いがある地域の事業者の方々のなかには、私たち社員を家族同様に思ってくださる方も少なくありません。多くの地域の事業者の方々とビジネスの枠を超えた固い絆で結ばれていることは、地域に密着しながら新たな課題を解決していくうえでも大きな強みになるといえるでしょう。

2019年10月のホールディングス化を機に、今後は業界の垣根を超えたアライアンスの可能性もより積極的に模索していきたいと考えています。また、2019年には熱い使命感をもつ社員が社内ベンチャー企業として三ッ輪ビジネスソリューションズを設立しました。今後は、省エネに貢献するエネルギーソリューションの仕組みづくりや導入の推進にむけて、ベンチャー企業も含めたさまざまな事業者の方々との連携も視野に入れているところです。

従来からのお付き合いのある事業者の方々に加え、新たな志をもつ事業者の方々とも手を携えることで、より多角的な視点から地域をゆたかにするためのお手伝いができるようになるのではないでしょうか。

――エネルギー産業の未来、三ッ輪ホールディングスグループの未来をどのように思い描いていますか?

エネルギー産業は、社会のインフラを担っているという安定感がある一方で、時代の流れに合わせて新たなチャレンジができる分野でもあります。また、技術面に目を向ければ、従来の制度の問題点をAIやIoTといったテクノロジーの活用により改善していくことが可能であり、開拓者としての新たな挑戦が待たれている分野でもあります。

このような産業では「何をやるのか」ということ以上に「誰がやるのか」ということが問われますから、自社の利益のみを追い求めるのではなく、地域のくらしをゆたかにすることで社会をよりよいものにしていきたいという強い想いをもっている人・事業者の存在がこれまで以上に重要になります。既にさまざまな優れた技術が開発されていますので、それらをしっかり商品化してその価値を実感していただける形で供給することで、最先端技術とお客さまとの橋渡しができる存在でありたいというのが私たちの願いです。

――自らが働くフィールドとしてエネルギー産業をとらえた場合、どのような可能性があるのでしょうか?

人口減少が進む日本社会において、エネルギー産業を単なるエネルギー販売業ととらえるとビジネス展開には限界があるように思えるかもしれません。ですが、「環境負荷を減らすためのソリューションそのものを提供する」「災害対策として有効なエネルギーや商材の提供ルートを開拓する」「電力自由化を追い風として一人ひとりのお客さまの実情に合った商材・サービスを提案する」といった多角的な展開が可能な分野だととらえれば、無限の可能性があるといえます。

大切なのは、従来のエネルギー産業の枠にとらわれない発想で、新しい挑戦を続けていくこと。エネルギー産業は人々のくらしと密接に結びついているものなので、くらしをゆたかにするために私たちができることは、まだまだあるはずです。

――ともに働くメンバーとして、求められる人物像を教えてください。

エネルギー業界では「何を売るのか」という商材の種類にはある程度の限りがあるため、「誰が売るのか」「誰がそのサービスを提供するのか」という、人にかかってくる部分が非常に大きくなります。そのため、当社グループでは、「何かをやり遂げたい」という強い想いをもっている人を積極的に採用したいと考えています。やりたいことは必ずしも具体化されている必要はなく、「人を幸せにしたい」ということでもかまいません。

会社に入ると、担当する日々の業務をこなしつつ、自分がやりたいことを実現させるための活動にも並行して取り組んでいく必要があります。これは決して簡単なことではありませんが、強い想いを持っている人が集えば、互いに刺激しあうことで新たなより良いものを生み出そうという推進力が生まれます。強い想いがあれば、仕事に必要な知識やスキルは自ずと身についていきますから、採用面接ではその人ならではの「想い」を聞かせてほしいですね。

――若手社員や子育て中の社員にも、活躍の場は与えられますか?

もちろんです。当社グループでは、若手社員でも意欲のある人には前例のないチャレンジが求められるようなやりがいのある仕事を任せていますし、子育て中の社員や現役スポーツ選手が在宅でのリモート勤務や時短勤務を選択できるなど、多様なバックグラウンドを持つ社員がそれぞれの能力を発揮して働くためのサポート体制を整えています。

また2019年に社内ベンチャーとして誕生した三ッ輪ビジネスソリューションズの代表者は、32歳で入社したのち、わずか3年で現在のポジションで活躍しています。このように自ら手を挙げる人には、チャンスが与えられる。それが当社グループの特色です。80年の歴史を持ちながら、今までとは全く異なる事業に取り組むことができるダイナミズムとスピード感のあるフィールドで、ともに開拓者となることをめざして働こうという熱意あふれる人と出会えることを期待しています。

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