生産者と消費者をつなぐ新規事業を提案
困難な時代だからこそ今までにはないビジネスを
新型コロナウイルス感染拡大により甚大な影響を受けた食品生産者の方々、また在宅を余儀なくされた地域の方々の双方を支援する取り組みとして、三ッ輪ホールディングスグループでは2020年5月から7月にかけて「生産者・消費者応援キャンペーン」を実施した。
その立ち上げを主に担ったのが、大手百貨店で食品バイヤーを務めた経験をもつ当社員だ。中途採用で入社を決意した理由や、コロナ禍という非常事態で新たなビジネスを立ち上げることのやりがいなどを聞いた。
大学卒業後、大手百貨店にて食料品売場・物産展・バイヤー業務などに従事。農業ベンチャー企業に転職して事業開発を担当した後、2019年10月に株式会社三ッ輪ビジネスソリューションズに入社。商品の販売や事業開発を行う営業部長を務め、2020年には新型コロナウイルス感染拡大によるフードロスを減らすことを目的とした「生産者・消費者応援キャンペーン」を企画。今後も継続的な支援を行うための新たなビジネスモデルの構築に取り組んでいる。
――三ッ輪ホールディングスグループへの転職を決意した理由・経緯を教えてください。
最大の決め手となったのは、「地域をゆたかに」という企業理念です。これまで大手百貨店やベンチャー企業でさまざまな仕事を経験してきましたが、私自身としては収支の面で事業を成功させることのみを目的とするのではなく、ビジネスを通じてその先にいるお客様を幸せにしたいという気持ちが強くありました。
エネルギーの供給事業を主軸とした地域密着型のビジネスを展開している三ッ輪ホールディングスグループであれば、どのような事業に携わるにしても、お客様のことを第一に考えて働くことができるのではないか。そのような思いから、中途採用で入社しました。
――入社後、三ッ輪ビジネスソリューションズでは、どのような業務を担当しているのでしょうか。
既存の商品を取り扱っていただける新規のお客様を増やすための取り組みと並行して、今までにないビジネスの仕組みづくりにも取り組んでいます。一例としては、災害時にも地域の方々に安心して給油していただけるよう、ガソリンスタンドに非常用発電機を設置するなど、来のエネルギー供給事業の付加価値を高める取り組みを進めてきました。
また、私個人としては、前職で携わってきた「食」の領域の知識や経験を生かした新規事業にも積極的に挑戦したいとの思いがあります。「食」に関する事業は、三ッ輪ホールディングスグループではまだ存在感が薄い領域です。
新規開拓の余地がある領域だからこそ、当社グループのビジネスモデルと「食」の領域の新商品を組み合わせたら、お客様に新しい価値をご提供できるのではないかという可能性を感じました。そうしたアイデアの1つとして実現できたのが、2020年5月より実施した「生産者・消費者応援キャンペーン」です。
――「生産者・消費者応援キャンペーン」を立ち上げた経緯を教えてください。
新型コロナウイルスの影響で物産展が中止になるなどして、当社グループのお客様である農家の方々が販路を絶たれて困っているという話を営業所の担当者から聞いたとき、これまでの経験を生かして自分に何かできることはないかと考えました。
そこで思いついたのが、当社グループの顧客ネットワークを最大限に生かして、当社グループのエネルギーをお使いの生産者と消費者の方々をつなごうというキャンペーンです。
5月に当社グループ社員を対象に北海道産のアスパラガスをテスト販売してみたところ、合計100kgのアスパラガスが即日完売。7月にかけては、当社グループのLPガスの顧客様にもチラシを配布して、山形県産の佐藤錦や北海道産のメロン、チーズとじゃがいも(メークイン)のセット、ハンバーグセットを合計で238件受注しました。
生産者の方々の販路を確保してフードロスを削減すると同時に、外出自粛により買い物に不便を感じていらっしゃった消費者の方々のご自宅に新鮮な産直食材をお届けでき、社会的に意義のある活動ができたと思います。
――このキャンペーンを実施するにあたり、困難を感じた点はありますか。
三ッ輪ホールディングスグループでは、これまでにオリーブオイルやはちみつなどは扱ってきましたが、生鮮食品を扱うのは今回が初めてでした。どうすれば鮮度を保ったままお客様のもとへお届けできるのかを模索しながらの実施となりましたが、各営業所の担当者を通じてお客様からの反応を把握できたことで、必要に応じてすぐに改善策を講じることが可能になりました。
これは、日頃から地域のお客様と確固たる信頼関係を築いている当社グループだからこそ、実行できたことだと思います。また、食材を販売するにあたっての原産地証明書の作成などに関しては、前職での経験や知識を生かすことができました。
――このキャンペーンを通じて、特にやりがいを感じたのはどのような点でしょうか。
手探りの状態で始めた企画でしたが、生産者の方々からは「コロナ禍で不安な状況の中でこのような企画に参加できて有難かった」、食材を購入したお客様からは「おいしかった」「初めての味を知ることができた」といった感想をいただきました。
新型コロナウイルスの感染拡大が社会的に大きな問題となり始めた3月の時点で企画を立ち上げ、4月から5月にかけての実質2か月間で準備を進めるというスピードが求められる事業でしたが、このような声をいただけたのは本当にうれしいですね。
また、このような産直事業に取り組んでいることを社外にも広くアピールできたことで、関連会社様から「食」にまつわる企画で一緒にやれることはないかと新たに声をかけていただくこともあり、ビジネスの可能性が広がっています。
社内的にも、新入社員がさまざまな営業所を回ってチラシの配布などの営業活動を担ったことで、全社で力を合わせてこのキャンペーンを推進していこうという会社としての一体感が形成されたように思います。
――ウィズコロナの新しい時代のビジネスとして、「生産者・消費者応援キャンペーン」の今後の展望を教えてください。
今は私も含め多くの人々が「何が正しいかがわからない世界」を生きているように思います。このような状況下で求められるのは、時代の変化を冷静に見極め、柔軟な対応をしていくこと。発想を転換し、今までにはなかった新しい価値を提供していくことが、これまで以上に求められる時代になるといえるでしょう。
これまでお世話になってきた地域の皆様への恩返しとして、当グループそのものを生産者と消費者の“マッチングの場”として活用した「生産者・消費者応援キャンペーン」は、そうした新しい発想を生かした取り組みだと思います。
今回の取り組みはモデル化し、今後も生産者の方々の顔が見える厳選された商品を当社グループのお客様にご紹介し、生産者と消費者の双方の満足につながるような支援を継続していきたいと考えています。
食材は、その一つひとつに生産者の方々の想いが込められていますから、どこの誰がつくったのかがわかるという関係性を大切にしたビジネスモデルを構築することで、お客様においしさと幸せを提供していけたらいいですね。
――最後に、三ッ輪ホールディングスグループへの入社を希望する皆さんへのメッセージをお願いします。
「地方創生に貢献したい」との思いを持って仕事をしている人は多いのではないでしょうか。三ッ輪ホールディングスグループは80年以上にわたり、地域のお客様にエネルギーを供給することで地域をゆたかにしてきたという実績をもつ会社です。そして、「生産者・消費者応援キャンペーン」の取り組みからもわかるように、今までにない切り口での新しい事業にもチャレンジできる風土があります。「この領域での事業をやりたい」といった明確な意思と「地域をゆたかにしたい」という熱い想いを持つ方々と、ぜひ当グループで一緒にビジネスをつくっていけたらと願っています。