アスリートも活躍できる多様性溢れる環境で、“現役サッカー選手×会社員”を実現!
デュアルキャリアの最先端

アスリートの世界では、引退後の選手が歩むセカンドキャリアではなく、現役の選手がスポーツ以外のキャリアと両立する「デュアルキャリア」が注目を集めつつある。三ッ輪産業で働く越後希波も、デュアルキャリアを実践中の現役アスリートだ。女子サッカーなでしこリーグ2部のチームに在籍しながら会社員としても働くことで、2種類のキャリアを並行して築いている。ニッパツ横浜FCシーガルズのスポンサーを務める三ッ輪産業のデュアルキャリア支援のあり方や、アスリートが働きやすい環境などについて話を聞いた。

三ッ輪産業株式会社 業務部 業務統括課 越後希波

越後希波(えちご・きなみ)仙台大学在学中にはサッカー全日本大学女子選抜、ユニバーシアード日本女子代表候補となり、2019年になでしこリーグ2部ニッパツ横浜FCシーガルズに加入。ポジションはゴールキーパー。2019年よりニッパツ横浜FCシーガルズのスポンサーを務める三ッ輪産業株式会社の正社員となり、サッカー選手と会社員の両方のキャリアを形成する「デュアルキャリア」を実践中。主に本社や営業所での事務作業を担当している。

――どのような経緯で、サッカー選手でありながら会社員でもあるという「デュアルキャリア」を選択したのでしょうか。

三ッ輪産業が私の所属するニッパツ横浜FCシーガルズのスポンサーであるというご縁で、チームに入団した2019年より正社員として採用していただきました。サッカーの場合、男子選手はサッカーだけに専念する環境が整えられていますが、女子選手はスポンサー企業での勤務とサッカーを両立しなければなりません。

こうした女子サッカーを取り巻く環境を改善するための活動も始まっていますが、男子選手との待遇格差が解消されるまでにはまだ時間がかかると思います。私の場合は通勤に片道1時間以上かかるため、練習を終えてから会社で働くのは体力的にハードだと感じることはありますが、現状で女子サッカー選手が収入面に不安を感じずにサッカーを続けるには「サッカー選手」と「会社員」というデュアルキャリアが必須です。
ですから、こうした働き方を支援してくださる企業の存在はとても大きいと感じています。

――サッカーの練習と仕事がある日のタイムスケジュールを教えてください。

朝6時30分にグラウンドに行ってウォーミングアップなどを行い、8時から10時まで全体練習をしてから帰宅、その後、電車で出勤して13時から18時30分まで会社で働いています。
ただ、これは私のチームの場合であり、チームによっては午前中に仕事をして午後に練習をしているところもあるようです。なでしこリーグの試合は土日に行われるので、土曜日にアウェーの試合があって遠征する場合は金曜日にお休みをいただくこともあります。
業務は電気の新規登録に関する事務作業や入金入力の作業などを担当しており、本社のほかに営業所に出向いて事務のサポートをすることもあります。

――三ッ輪産業に対して、どのようなイメージを抱いていましたか。また、実際に入社されてみての感想はいかがですか。

三ッ輪産業はエネルギー業界の堅実な会社というイメージがあったので、入社前は「堅い感じの人が多いのかな」と思っていました。ですが、入社してみると、優しい人ばかりでとても働きやすいと感じました。同じ部署の社員の方が試合を見に来てくださったこともあって、そのときは本当に嬉しかったですね。
日ごろから皆さん、ニッパツ横浜FCシーガルズのホームページなども見てくださって、試合後に出社したときはいろいろと声をかけていただくこともあります。親身になって見守ってくれる「優しいお母さん」のような存在の方々が周囲にたくさんいるという感じです。

サッカーの練習で午前中は不在にしていますから、仕事の面ではいろいろとご迷惑をおかけしている面もあるかと思うのですが、私がサッカーを生活の中心に据えているということを職場の皆さんが理解してくださっているのが有難いですね。

――デュアルキャリアを継続するうえで、会社側のサポートとして役立っているのはどのようなことですか。

以前、足をケガして、しばらく松葉杖で生活しなければならないときがありました。電車通勤のことを考えると足が治るまで仕事を休むという選択肢もあったのですが、なんとか仕事を続けられないだろうかと思って部長に相談したところ、いつも勤務している本社ではなく、サッカーの練習場から最寄りの営業所で働けるようにすぐ対処してくださったんです。
有給休暇を活用して完全オフの日をつくれるように、サッカーの合宿などには有給休暇を使わずに特別休暇で対応させてほしいと相談した際は、雇用契約をそのように変更していただくことができました。上司に何でも相談できるし、相談すれば理解していただける環境で働けていることには心から感謝しています。

社長との面談では、勤務時間といった条件面のことよりも、これまでどのようにサッカーに取り組んできたのかといった私自身のことについて話題にしてくださったのが印象的でした。三ッ輪ホールディングスグループには、「その人がどういう人なのか」「その人にはどういう働き方が向いているのか」を理解しようという風土があるように思います。アスリートが抱えている悩みはアスリートでなければわからない部分もあるため、周囲の人とは日頃から積極的にコミュニケーションを取るようにして、「こうしてほしい」ということを相談できる関係性を築いていくことが大切だと感じています。

――アスリートとしてデュアルキャリアを実践するうえでの思いや、社会・企業に対して望むことを聞かせてください。

アスリートとしての最優先事項は、最高のパフォーマンスができるように体調管理を万全にすることです。体を休めることもアスリートにとっては非常に重要なことなので、仕事は定時で終えられるように常に優先順位を意識して取り組むようになりました。周囲の皆さんは「集中しすぎずに休みながらでいいよ」と声をかけてくださいますが、会社で働ける時間が皆さんよりは短い分、中身の濃い仕事をしたいと思っています。

私は幸運にも三ッ輪ホールディングスグループに入社でき、サッカーと両立できる環境でデュアルキャリアを実践させていただいていますが、女子サッカー界全体に目を向けると、収入面の厳しさを理由にサッカーをあきらめざるを得ない人も少なくありません。
当社のように、スポーツをしながら働くというデュアルキャリアを社員の皆さんが理解してくださって、アスリート自身も自分に何が必要なのかを発信しながら働き続けることができる会社が増えていけば、日本のスポーツ界にとって間違いなくプラスになりますし、子どもたちにも夢を与えることができるはずです。
アスリートの一人として、デュアルキャリアに理解のある会社がもっと増えていくことを願っています。

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